海洋散骨と聞くと何を想像しますか?
多くの人は高倉健さんが主演の映画、「あなたへ」の中のワンシーンではないでしょうか?
海洋散骨そのものの概念はこのワンシーンで十分に表現できていると思いますが、細かいところが、海洋散骨のルールから外れているところがあることも事実。
映画でさえ、きちんと描けない海洋散骨について、海洋散骨のパイオニアから直接指導を頂いた内容も交えて終活カウンセラーがお届けします。
海洋散骨とは?
海洋散骨は、祭祀の目的をもって、故人の火葬したあとの焼骨を海洋上に散布することをいいます。(一般社団法人日本海洋散骨協会 ガイドラインより)
初めから堅苦しいことを書きました。
近年、広く知れ渡るようになってからというもの、海洋散骨に関するトラブルが後を絶たない、業者の乱立によりルールがあいまいになってきているということから、立ち上がったのがこの定義を決めた一般社団法人日本海洋散骨協会です。
ここでは海洋散骨に関してのガイドラインを独自に策定し、協会に加入している業者はこれを遵守しています。
この協会に加入しているかどうかは海洋散骨業者を選ぶ1つの基準として考えてよいと思います。
海洋散骨には船舶でおこなう方法と、ヘリコプターやセスナ機で沖合いまで飛び、空から撒く方法があります。
今回は船舶で行う方法を中心に紹介していきますが、どちらの場合にもガイドラインに従い、骨は2mm以下に砕くこと、散骨場所は沖合や漁場などから一定の距離を置くこと、散骨時の花は花束ではなく花びらなどを使うことなど、法律はもちろん、すべての海人、自然環境に配慮された形で行われています。
さて、映画「あなたへ」の中の海洋散骨のシーンでは、最後に花束が海に浮かぶ光景が映し出されます。
故人をしのぶ目的で投げ入れられたものだと思いますが、海洋散骨協会のガイドラインの下で現在行われている散骨では、花束の投げ入れはできないことになっています。
最近、マイクロプラスチックの問題で紙ストローが登場したりしていますね。
花束に使われているフィルムやホイルは自然には還りません。
それどころか自然に還りたい故人の気持ちさえも踏みにじってしまう行為といっても言い過ぎではないように感じます。
もちろん、個人の好きな花をささげることは可能です。
いくつかのルールがありますので、詳しくは打ち合わせの時に聞いてみてくださいね!
でも、その前に海洋散骨のお勉強をしたいと思っている、そこのアナタへ。
終活カウンセラーかなでが独断と偏見で、気軽に受講できる順でいくつかセミナーをピックアップしておきました。
所要時間、金額も併記してありますのでよろしければ参考にしてみてくださいね。
※唯一私が受講したセミナー※
海洋散骨と手元供養 1500円(税込)90分
海洋散骨協会の立ち上げ等、海洋散骨のパイオニアから直接お話を聞ける密度の濃いセミナー。90分という短い時間で、この記事のネタ元でもあります。
ワイドショーで見る「アレ」も目の前で見ることができます。
セミナー会場はブルーオーシャンカフェという終活コミニティーカフェなので、このお値段でワンドリンク付きなのもうれしいです。
メインスタッフは終活カウンセラーの有資格者でもあるため、セミナー以外でもランチついでに相談にも乗っていただけます。
一般社団法人日本海洋散骨協会が行っている、認定海洋散骨アドバイザー検定試験10,000円(税込)4時間試験あり。
一般向け・消費者にアドバイスができるレベルに設定されています。
終活カウンセラーでこの検定も受講する人は少なくありません。
私も受講を狙っていますが、日程が合わず、なかなか受講できない、個人的には幻の検定でもあります。
海洋散骨と手元供養のセミナーで物足りない方はぜひ検討してみてください。
次のステップの認定海洋散骨シニアアドバイザー20,000円(税込)7.5時間試験あり、は事業を行いたい方レベル向けの設定ですが、ご自身が散骨を検討している方、終活に関する知識をさらに深めたい方も受講可能です。
海洋散骨のメリット
海洋散骨のメリットは何といっても自然に還ること、一体となれることだと思います。
地方によってはお墓の中に遺骨を納めるとき、骨壺から骨を取り出して入れるところもあります。
どちらも自然に還れますが「一体となる」という点では散骨の方が勝っているのではないでしょうか?
「あの海に眠っている」なんて、とても壮大でステキですよね。
また、お墓がない、お墓に入れない・入りたくない方の場合にはメリットになるかもしれません。
海洋散骨がきっかけで故人への執着が解け、前向きになれたという方もいらっしゃるようです。
業者によっては毎月散骨会場へ供養のためのクルージングも行われていて、散骨仲間ができるのも、隠れたメリットかもしれません。
海洋散骨のデメリット
海洋散骨のデメリットは故人を偲びにくいことではないでしょうか?
お墓のように簡単には行けないし、手を合わせる目標物もない。
ですが、海洋散骨のプロはちゃんと遺族心情に寄り添ってくれます。
海洋散骨に限ったことではありませんが、私もお勧めするのが、手元供養です。
海洋散骨や樹木葬、合同埋葬など、家単位や個人単位を超えた埋葬方法だった場合、どこに心の拠り所を定めていいのか迷う場合があります。
ですので遺骨の一部を手元に残しておくのです。
法律上、遺骨は1か所にまとめなさいという規定はありません。
ちなみに私の主人は大部分を桜の下の樹木葬、一部を大仏のお膝下へと決めているようです。
しかし、たぶん残される側となる私には、どちらもすぐには行けず、供養しにくい場所です。
その時の私の気持ちにもよるのでしょうが、たぶん(この愛が冷めなければ)、手元供養用にも遺骨を分けると思います。
いつまでも愛が続きますように・・・。
どんな人が海洋散骨を選ぶの?
海洋散骨を選ぶ方の多くは海人のように感じます。
マリンスポーツをしていた、海が職場だった、などなど。
また、海外赴任が多い方や海外での生活歴がある方も多いです。
中には墓じまい目的で選ばれる方もいますし、戦時中、海軍だったからとの理由で海洋散骨にしたケースもあるようです。
また、大変残念で、腹立たしいことですが、供養というよりも遺骨の処分目的で海洋散骨を選ばれる人・引き受ける業者が一定数存在するのも事実です。
じつは、遺骨に関する考え方が僧侶の中でも違っていて、一概に処分のための散骨がいけないこととも言えません。
それは私の親類の菩提寺でもあるお寺の住職が「遺骨はゴミみたいなもの」という考えを持っていることが証明してくれると思います。
供養のプロでもある僧侶でさえ、そのような考えを持つ人がいるのです。
私がまだ、子どものころに聞いた言葉でしたが、火葬の過程を見てきた私にとってはとてもショッキングな発言でした。
あなたは大切な人の供養を、どのように行っていきたいと考えていますか?
費用はどれぐらい?
海洋散骨は火葬が済んで粉砕された状態であればいつでも執り行うことができます。
お墓を建てるよりも低コストで、維持管理も命日などの供養クルージングに出かけたとしても低く抑えることができるのではないでしょうか?
プランによってかなり差がありますが、最安価格だと、散骨委託・代行プランが4万円程度から、数組の家族合同で1隻の船に乗るプランが10万円程度から、自分たちの家族だけで1隻の船を貸切るプランなら15万円程度から準備されているようですので、気になる業者があるようでしたら、わがままいっぱい詰め込んだプランで見積もりを取ってみてください。
そのプランがあなたにとっての最高価格となり、基準になるプランだと思います。
関連記事:骨を海にまく(海洋散骨葬)って費用はどのぐらい?自分でする事もできる?
まとめ
いかがでしたか?
今回は下に書いた2つのサイトからの情報と、私が受講してきたセミナーをもとにまとめてみました。
海洋散骨は決して遺骨の処分ではありません。
あくまでも供養の1つの方法・スタイルであると考えています。
また、散骨には様々なルールがあります。
墓地埋葬法や刑法、民法などに触れないように日本海洋散骨協会ではガイドラインを定めているのです。
近年、自分たちで行う「ゲリラ散骨」も問題になってきているようですが、最悪の場合、刑法の遺骨遺棄罪で逮捕される場合もありますので、海洋散骨を考えている場合にはぜひ、海洋散骨のプロにご相談いただきたいと思います。
遺骨はゴミではありません。
遺骨はその人が生まれ、育ち、生き抜いてきた証拠の1つなのです。
引用参考元
一般社団法人日本海洋散骨協会 https://kaiyousou.or.jp/
ブルーオーシャンセレモニー https://blueoceanceremony.jp/