近頃、葬儀や法要の場でよく「四十九日法要でどれくらい包んでお坊様にお渡しすればいいですか?」というお悩みを聞きます。
あくまで「お気持ち」ですので、厳密な取り決めや費用が決まっているわけではありません。
しかし以前よりもお寺との交流が少なくなった近頃では、そういったことを教えてくれる場所や機会が減りお悩みになっている方は多いと思います。
そんなお悩みの方のために、今回はお布施の正しい書き方・相場・マナーなどを宗派別にご紹介いたします。
この記事を読んでぜひ参考にして下さい。
お布施袋の表書きについて!宗派別に解説!
表書きとはお布施を渡す時のお札を包んだ封筒・半紙などの表面に書く文字のことを指しています。
お布施は故人のために読経してくださったお坊様へのお礼であり、そのお布施の表書きは「ただ書けばいいもの」ではないことはご存知でしょうか?
お布施の表書きにも正しいものと正しくないものがあり、宗派によって書き方も変わってきます。
そんな表書きの正しい書き方を宗派別にご紹介いたします。
真言宗
真言宗では「御布施」「お布施」と上段中央に書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
「御経料」「御礼」とは書きませんのでご注意下さい。
また、表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
浄土真宗
浄土真宗では「御布施」「お布施」と上段中央に書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
また表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
しかし浄土真宗ではお布施を仏様への感謝の気持ちを示したものとしているため、僧侶個人や寺院への謝礼を意味する「志」「寸志」などは使ってはいけません。
マナーに反しているのでご注意下さい。
曹洞宗
曹洞宗では「御布施」「お布施」と上段中央に書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
また表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
仏教
仏教では上段中央に「御礼」「お布施」「読経料」「御回向料」と書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書くのが一般的です。
また表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
神道
神道では上段中央に「御礼」「御祈祷料」「御祭祀料」「御榊料」「御神饌料」「玉串料」と書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
キリスト教
キリスト教では、教会宛の場合は上段中央に「献金」「記念献金」「感謝献金」「ミサ御礼」「御ミサ料」と書き、神父・牧師宛には「御礼」と書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
無宗教
無宗教では故人の遺志や遺族の意向により自由な形式で葬儀が行えるため、法要やその他行事に関しては他宗教とは異なります。
四十九日法要もどうするかは故人・遺族の自由ですので、もしお坊様をお呼びしての法要でしたら各宗教にあわせた表書きをすることをお勧めします。
天台宗
天台宗では上段中央に「御布施」「お布施」「御礼」と書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
また表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
日蓮宗
日蓮宗では上段中央に「御布施」「お布施」「御礼」と書き、下段に喪主もしくは葬家の名前を書きます。
また表書きを記さずにお渡しする場合もあります。
お布施の相場はどのぐらい?
表書きの書き方の次に気になるのは、やはりお布施の相場です。
「いくら包めばいいのか」「多く包む方がいいのか」「少ないと無礼にならないか」など、多くの方がお布施の相場で悩んでいらっしゃいますが、厳密に言えばお布施の相場は決まっていません。
お布施はあくまで仏様やお坊様への「お気持ち」ですので、「お布施は○○円!」とは決められるものではありません。
ですがだいたいこれ位という相場はあり、四十九日法要のお布施の場合は各宗教3~5万程度のお布施を包みます。
ですが地域やお寺によってはそのお布施の値段も変わってくるので、不安な場合は事前にお寺のお坊様にお布施の金額を聞くなどすることをお勧めします。
新札は使ってもいいの?
さて表書き・お布施の相場のお悩みが解決できたところで新たなお悩みとして、「お布施は新札を使ってもいいのですか」というお声をよく聞きます。
一般的に新札は結婚式のご祝儀や出産祝いなどの「おめでたい場合」などで使うことが多く、逆に御通夜や告別式などの「お悔やみ申し上げる場合」では葬家遺族への無礼とされています。
ですが、お布施の場合は使ってもかまいません。
お坊様が不幸にあった訳ではありませんので、お布施には新札でも旧札でも使って問題はありません。
しかし、旧札を使うといってもあまりに汚れているものやクシャクシャなものはお勧めできませんので、なるべく状態のいい旧札を選ぶようにしてください。
お布施の正しい渡し方を紹介
何にでもそうですが、誰かに何かを渡す時はそれなりのマナーがあります。
お布施のように感謝を込めて渡すものであれば尚更です。
ここからはお布施の正しい渡し方をご紹介します。
いつ渡すの?
一般的には法要の前か後が好ましいとされています。
合同での法要の場合は本堂入口付近に受付がありますので、本堂に入る際に受付の方にお布施をお渡しします。
もし受付がない場合で法要が始まるまでに時間があれば、法要をしてくださるお坊様へ挨拶を兼ねてお布施をお渡ししましょう。
その際には一言お礼を添えるなどした方が良いでしょう。
法要前で時間がない場合は、法要を終えた後にお礼の挨拶の際にお布施を渡ししすると良いでしょう。
お布施を渡す際の正しい向き
ただ渡せばいいというものではなく、お渡しする際にも手順があり正しい向きがあります。
それを怠っては相手への無礼と取られてしまいますので、この機会に正しいお布施の渡し方をご紹介いたします。
1,準備
まずはお布施を切手盆に置くまたは袱紗(ふくさ)の包みを解き用意します。
このときは自分が文字を読める方向に持っています。
2,切手盆・袱紗の向きを変える
右上と左下を持ち時計回りに90度回させ、更に上下を持ち替え90度回しお坊様(または神主様もしくは神父・牧師様)が文字を読める向きにします。
3,差し出す
お礼の口上を述べた後にお渡ししましょう。
作法やマナーは各宗教や個人によって異なったり入り混じったりしており、「これが正しい」とは言い切れません。
ですが心を込めた感謝の気持ちがあれば、間違っていたり多少の無作法があったとしても感謝の気持ちは伝わります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
お布施の目的はきて頂いたお坊様への感謝の形です。
作法やマナーばかりに気をとられ、感謝の気持ちを忘れ形だけになってしまうよりかは、多少の無作法やマナー違反であっても真心を込めお布施を渡す方が相手にも気持ちがより伝わると思います。
宗派や宗教によって大きく変わる部分もあり混乱しそうになる場面もありますが、そんな時にこの記事を参考にしていただけたらと思います。