ご葬儀には数百万単位でお金がかかることも珍しくありません。
しかも、ただご葬儀代だけではなく、お寺様への御布施とか、香典返しとか、多くの項目に対して一度に大きな出費をしなければなりません。
また、お金はあっても、その後の香典返しなどがとても面倒なことだと感じる方も少なくありません。
このように、ご葬儀にはどうしてもお金がかかるので費用を抑えたい、もう少し簡素で静かに葬儀を執り行いたいとして最近人気が出てきているのが、「家族葬」というものです。
大手の葬儀社でもこれを売り出すようになってから「家族葬」という言葉自体を聞くことは増えていると思います。
しかし、いくら「家族葬」とはいっても、この言葉をきちんと理解している方は少ないと思います。
ニーズの高まりの中で、皆様も今後何かの機会で「家族葬」に触れることがあるかもしれません。
そんな「家族葬」ですが、普通のご葬儀とは少し異なる独特のマナーなどもあり、これを守らないと遺族の皆様に不快感を与えることになります。
今回は、「家族葬」とは何か、そのマナーや流れなどについて書いていきたいと思います!
《家族葬とは》
ずばり家族葬とは、その名前の通り、『家族だけで執り行う葬儀』のことを指します。
しかし、問題は「家族葬」の『家族』とは具体的に誰を指すのか、定義がはっきりしていないことです。
例えば、一緒に暮らしている親族だけを家族と呼ぶのか、実家の親戚を含めて家族と呼ぶのか、或いは又従兄弟や大叔父などの離れた親族も家族に含めるのか、各家庭のよって考え方が異なってきます。
なので、お寺様や葬儀社でもハッキリとした定義を挙げることができないのです。
ですが、強いて言うなら『血のつながった親族だけで執り行う葬儀』と言うべきでしょうか。
『家族』という用語を用いている以上、会社関係や友達関係などを大々的に呼ばないことも少なくありません。
ただ、前述の通り同じ『家族』でもどこまでを呼ぶのか各家庭ごとに異なるので、もし親族内で「家族葬」を執り行う、となった場合は事前に確認しておくのが良いかと思います。
ちなみにお寺様を呼ぶかどうかは、あまり関係してきません。
確かに「家族葬」ではお寺様を呼ばないことも多いですが、これはあくまで故人様やご家族様の宗教観などで決まってくるからです。
しかも、呼ばなかった場合は納骨などの面でトラブルになることもある為、できれば呼んだ方が無難です。
〈家族葬のマナーと流れを解説!〉
続いては「家族葬」のマナーと流れについてです。
まず、全体的な流れとしては、ほとんどは普通のご葬儀と同じです。
お亡くなりになって、病院やご自宅に故人様をご案内したあと、ご葬儀の中身の具体的な打ち合わせをします。
ここで具体的な日程や料金を定めます。
この時、葬儀社には「家族葬」で執り行う旨を伝えます。
すると、それに合わせて葬儀社が提案をしてくれます。
例えば、電柱などに貼られている葬儀場への案内板をしないようにしたり、訃報の案内状に参列をお断りする文言を入れたりします。
次に、打ち合わせで決めた日程に従い『お通夜』を執り行います。
「家族葬」なので、参列者の方もそこまで多くないため、ここでゆっくりとお別れする時間を取ることができます。
その翌日、お寺様を呼んだ場合は『ご葬儀』、呼ばなかった場合は『告別式』を執り行います。
そして、『出棺』と『火葬』となり、最近ではその後に『初七日法要』を執り行います。
これらが全て終わった後に落ち着いたら、ご案内をしなかった方々に手紙や電話などで報告をします。
その後、弔問に来られる方もいらっしゃるので、香典をお持ちになった方には香典返し、そうでない方には返礼品をお渡ししましょう。
「家族葬」だからといって、特別普通のご葬儀の流れと違う訳ではありませんので、一度ご葬儀に参列されたことのある方なら、さほどとまどうことはないでしょう。
家族葬のマナーを解説!
服装に関しては、普通のご葬儀と同じです。
男性は、黒いスーツに白いシャツ、黒のネクタイに黒の靴下、黒の靴が基本です。
女性は地味な平服で、必要以上に肌を露出させず、光沢のある物や派手な物は身に着けないようにしましょう。
また、仮にご葬儀が「家族葬」で執り行われるとなった場合、基本的には葬儀に参列しない方が良いでしょう。
(会葬お断りならば行ってはいけません)もし、参列したとしても邪険に扱われるようなことはないと思いますが、ご遺族様としては小さくしめやかに執り行いたいと考えておられるはずです。
なので、積極的な案内が来ない限りは葬儀には参列せず、また後日お知らせがあった際などに弔問に伺って、御仏壇に手を合わせるのが良いかと思います。
《家族葬の費用はどのぐらい?》
恐らく、これが一番気になられる方も多いと思いますが、基本的には費用の面で通常のご葬儀よりも価格を抑えることが出来ます。
ただ、これも冒頭で述べた通り『家族』をどのように定義するかによって参列者の数が変わる為、会葬礼品や通夜料理などの関係で価格が上下します。
とはいえ、祭壇なども比較的小さくて安価なものをご注文されることが多いと思うので、全体としては大体80万円から100万円未満くらいに抑えられると思います。
お寺様を呼ばない場合には、そこからさらに『お布施』などが差し引かれる為、より価格を抑えられます。
関連記事:葬儀でのお布施はいつ渡す?書き方や金額の相場も紹介!
《家族葬で呼ぶ範囲はどこまで?》
これが「家族葬」の中で一番難しい部分です。
どこまで呼べばいいのか、という決まりや定義が一切ありません。
なので、どこまで呼ぶべきなのかは事前にご家族様で決めておくのが良いかと思います。
ただ、一般的には同居している家族、或いは3、4親等のご家族までを呼ぶのが一般的のようです。
もし、生前に故人が呼んで欲しい人を指定していた場合は、それに従うのが良いでしょう。
《家族葬でも会社に連絡すべき?》
「家族葬」の意味から考えると、家族以外をご葬儀に呼ぶのはおかしいようにも思えますが、自身の親族にご不幸があったことを知らせず、ご葬儀に呼ばないのは失礼に当たりますし、最悪無断欠勤扱いにもされかねません。
なので、結論から言えば当然会社にも連絡しなければなりません。
しかし、親族としてはできるだけ近しい人だけで静かに執り行いたいという要望もあるはずです。
そこで、会社には報告だけして、会葬をお断りするのがお勧めです。
会社全体には伝えず、直属の上司にだけ報告し、家族葬なので会葬はお断りします、とハッキリお伝えすれば大丈夫でしょう。
もし、故人様にある程度の役職があった場合や、全く呼ばないのもどうかと思う際は、会社関係の一部の方だけをお呼びするという方法もあります。
具体的には、直属の上司と会社代表の数人だけ弔問に来ていただくという形です。
こうすれば、会社関係の人も呼べて尚且つ大人数になるのを防ぐことが出来ます。
そして、ご葬儀の終了後に、来られなかった方への事後報告として全体に連絡をすれば全く問題ありません。
ただ、こういった連絡がちゃんと伝わらず、会社の方々が弔問に来られる可能性もあるので、口頭だけでなくメールやFAXなどの文字にして伝えておくことも重要です。
《まとめ》
さて、「家族葬」について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
近年、特に都市部ではこの「家族葬」が増えています。
お値段を抑えられて、通常と比較しても簡素で、香典返しなどの面倒も少なくなるこのタイプのご葬儀は、ニーズもどんどん高まっており、大手や中小の葬儀社も対応するようになっています。
それに合わせて今後はどんどん身近な葬儀になっていくでしょう。
しかし、いくら身近といっても葬儀には変わりありません。
中には「家族葬」は簡素なものだから、と軽く考えて礼儀をおろそかにする方もいらっしゃるようです。
しかし、ご遺族様からしたら大切な方を送る儀礼ですので、やはりきちんとした格好や振る舞いで参列するべきでしょう。
もし、「家族葬」についてもっと詳しく知りたくなった時は、近くの葬儀社を訪ねてやり方を聞いてみるのも手です。
その時に相談しておけば、家族葬に限らず、葬儀の疑問も解消されると思います。
いざという時の為にも、こうした事前の相談はやっておいて損はないので、お時間があるときに行かれてみてはいかがでしょうか。