お墓の跡継ぎどうしようか・・・。
男の子が居ないからって娘に任せる訳にもいかないし・・・。
お墓とは、亡くなった人が最後に形として残すものです。
そこに埋葬された先祖への供養の祈りを捧げる対象となります。
昔は1つの墓に1人が埋葬されていましたが、明治時代に入って「家制度」が制定されたことにより、1つの墓に先祖代々を祀るようになりました。
お墓は代々その家の長男が継ぎ、一族の繋がりを確認する重要な場所としてお墓が重要視されるようになりました。
しかし、昨今少子化やライフスタイルの多様化などで、お墓の跡継ぎ問題で悩まれる方も少なくありません。
子育てがある程度落ち着く40代を過ぎてくると、老後や自分たち夫婦が亡くなった後のことなどについて考える機会も増えるのではないのでしょうか。
男の子供さんがいれば良いですが、もし娘しかいない場合は特にお墓の跡継ぎについて悩まれると思います。
このようにお墓の跡継ぎがいない場合の対処法についてまとめてみました。
目次
〇お墓の後継がいなくなる原因は?
お墓の跡継ぎがいなくなる大きな原因は、少子化と都市部への人口集中、「お墓」に対する意識の変化などが挙げられます。
昔は長男は生まれ育った土地で生涯を過ごすこ風習でしたので、その土地に建てられた代々のお墓を守り、受け継いできました。
しかし現在は就職や結婚を機に、生まれ育った土地から離れることが多くなっているというのが現状です。
また、合計特殊出生率が約1.3人という少子化の現代では、物理的にお墓の承継はとても難しい状況となってきました。
ライフスタイルの多様化などにより、核家族の家庭も増えてたことも「お墓」に対する意識変化の理由であると考えられています。
〇お墓を継ぐ人が居ない場合はどうする?
うちの様な悩みがある人はたくさんいるはず。
どうすればいいんだろう・・・。
男の子供がいない場合や、子供のいない場合など、お墓を継ぐ人がいない場合はどうすればよいのでしょうか?
お墓を継ぐ人がいない場合は、まずお墓を管理する霊園やお寺、自治体などに相談してみてもよいでしょう。
自分自身が長男で、弟や姉妹などがいる場合は、その方々にとっても自分たちの先祖が祀られているお墓ですので、その方々に相談することも忘れてはなりません。
〇無縁墓地のその後は?そうなる前に出来る6つのこと
継承する人がいない、跡継ぎのいないお墓のことを「無縁墓地」といいます。
現代の日本では年々「無縁墓地」が増加傾向にあります。
では、無縁になってしまったお墓はどうなるのでしょうか?
無縁墓地は誰もお墓参りや手入れをする人が来ませんので、雑草がはびこり墓石も老朽化していき荒れ果てていきます。
墓を管理する霊園や自治体との連絡手段もなくなり、最終的に無縁墓地と判断されます。
無縁墓地と判断された墓地は、自治体の許可を得たうえでお墓は撤去され、ご遺骨などは合祀されることになります。
自分たちの先祖が祀られているお墓が、将来無縁墓地にならないようにするにはどうすればよいのでしょうか?
ここでは6つの方法をご紹介したいと思います。
1.墓じまいをする
墓じまいとは、お墓を解体し撤去することです。
お墓自体を霊園やお寺から撤去し、永代使用権を返還します。
お墓自体を撤去しますので、そのあとの管理費用や手間が必要なくなります。墓じまいした後に、散骨や改葬(お墓を別の場所へ移すこと、お墓のお引越し)も可能です。
海に遺灰を流して供養する海洋散骨葬については以下で詳しく解説しています。
関連記事:骨を海にまく(海洋散骨葬)って費用はどのぐらい?自分でする事もできる?
お墓が寺院に合った場合は離檀料といった費用も別途必要になります。
離檀料とは、その寺院の檀家を辞めるために必要な費用のことを言います。
抜魂式や撤去作業など順序をふまえて行わなければならず、墓じまいを計画してから完了するまで1~3年ほどかかるとされています。
また、墓じまいは「墓地、埋葬地に関する法律」によって定められた手順ですすめなければなりません。
その手順は以下の通りです。
①改葬許可申請書をもらう:お墓がある市町村の役場で、改葬許可申請書をもらい、寺院や霊園の署名・捺印をもらいます。
②納骨許可書をもらう:新たに納骨する寺院や霊園の、納骨許可書をもらいます。
③改葬許可書をもらう:新たに納骨する寺院や霊園でもらった納骨許可書を役場に提出して、改葬許可書をもらいます。
④墓じまいをする:閉魂供養を行い遺骨を取り出します。遺骨を取り出した後は墓石の撤去にうつります。
2.永代供養墓に移す
永代供養とは跡継ぎなどの子孫に変わって、寺院や霊園がお墓の管理や供養をしてくれます。
近年は永代供養を選ぶ方がとても増えてきていますが、メリットとデメリットをしっかり知っておく必要があります。
□永代供養のメリット
・寺院や霊園がお墓の管理をしてくれるので、自分の子供たちや子孫がお墓の管理をする必要がありません。
・基本的には、宗教・宗派を問わず受け入れてくれます。
・年間の管理費用は不要ですし、合同墓の場合は墓石代もかかりません。初期費用だけで、お盆やお彼岸などのその後の供養に必要なほぼすべてを補えます。
□永代供養のデメリット
・先祖代々のお墓の場合はその家系の人しか入れませんが、永代供養の合祀の場合は他の人の遺骨と一緒に祀られることになります。
・永代供養の形式によっては、一度納骨するとそのあとは二度と遺骨を取り出すことができなくなる。
・永代供養を行う寺院や霊園は増加傾向にあり、寺院や霊園によっては供養の回数や埋葬方法などに差がある。
3.継承者を考えてみる
自分の子供が娘しかいない、子供がいないなど、お墓の跡継ぎがいない場合は、今一度他に承継者がいないかを考えてみましょう。
かつては、親戚など自分と血縁関係にある人と養子縁組することにより、先祖代々のお墓を守り、受け継いできたこともありました。
ですが現代の日本ではあまりそのようなことは行われなくなってきています。
自分自身が長男で、自分以外に弟や姉妹がいる場合は、その方たちにとっても、自分たちの先祖が祀られているお墓ですので、相談してみても良いでしょう。
お墓の承継者を考えるにあたり、「祭祀承継者(さいしけいしょうしゃ)」というものがあります。
お墓や仏壇など、先祖を祀る財産は「祭祀財産」といい、相続税のかからない遺産の一つです。
多くの場合はその家庭の長男が「祭祀承継者」となりますが、必ずしも長男でなければならないことはありません。
ですが、親族以外が祭祀承継者となることは事実上困難ですので、親族でよく話し合って決めることが必要です。
□祭祀承継者の役割
・お墓の管理:お墓の管理費用を支払い、命日やお盆、お彼岸などのお参りを行います。
・仏壇の管理:お線香や御花を供えたり、命日やお盆、お彼岸などの法要を行います。
・檀家の務め:檀家として属するお寺の行事に参加したりします。お寺へのお布施や寄付などを支払います。
4.お墓の管理費を先に数十年分支払う
お墓の跡継ぎがいない場合、自分の死後も含めて、お墓の管理費用を先に数十年分支払うことも一つの方法です。
ですが、お墓を承継するということは管理費用を払うことだけではありません。
お盆やお彼岸のお参りやお墓の掃除なども忘れてはなりません。
寺院や霊園によってはお墓の手入れをしてくれる場合もあるかもしれませんが、基本的に自分の家のお墓はお墓を承継した人が行っていきます。
ですので、お墓の掃除やお参りなどをしてくれる承継者がいない場合はお勧めできません。
5.期限付き墓・レンタル墓
「期限付き墓・レンタル墓」という言葉、聞いたことのない方がほとんどだと思います。
近年では様々なスタイルのお墓や埋葬方法が増えてきていますが、期限付き墓やレンタル墓もそのうちの一つです。
その名の通り、期限付きでお墓を借りたり、一定期間お墓をレンタルするというものです。
期限付き墓・レンタル墓のメリット・デメリットは以下の通りです。
□期限付き墓・レンタル墓のメリット
・お墓の購入費用と比べて費用が抑えられる。
・お墓を撤去する費用が掛からない、お墓を撤去する必要がない。
・見た目は普通のお墓と変わりない。
・お墓の跡継ぎ問題など、将来のお墓の管理について悩まなくてよい
□期限付き墓・レンタル墓のデメリット
・一定期間のみのレンタルであるため、期間が過ぎた後は、延長・撤去・永代供養に入るかを選ぶ必要がある。
・お墓を利用している期間中に墓石の破損などがあれば別途費用が必要になる。
このようなメリット・デメリットから、仕事の関係などで引っ越しが多い方や、お墓の跡継ぎ問題やお墓の購入費用など、お墓を購入する決断ができない方などに利用されているようです。
また、一族のお墓は別にあるが、そこから分骨して、近くでお参りできるためにお墓をレンタルする方もいるようです。
期限付き墓・レンタル墓は、契約期間内であれば家族の事情などにより、遺骨を取り出したり改葬や永代供養に移すことも可能です。
6.合祀・合葬
合祀、合葬とは、自分の一族以外の人たちと一緒に埋葬する方法を言います。
骨壺から焼骨を取り出して一緒に埋葬しますので、遺骨は他の人と一緒に混ざった状態になり、長い年月をかけて土に還るスタイルです。
先に述べた永代供養も、この合祀・合葬に含まれますが、永代供養には「個別葬」というものや様々な様式があります。
無縁墓地となってしまったお墓が撤去され遺骨が取り出された後も、合祀・合葬されることになります。
合祀・合葬は、その埋葬方法などから抵抗のある方も少なくありませんが、費用が抑えられることやお墓の管理が不要になるなどのメリットから、近年は少しずつ増えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
近年、少子化やライフスタイルの多様化に伴い、お墓の在り方もかわりつつあります。
お墓とは、先祖代々受け継がれてきた大切な財産です。
自分たちの家族の状況や、それぞれの供養に対する気持ちをよく話し合いながら決めたいですね。